2025.09.24

大手営業会社とベンチャー営業会社の違い

milliongate

営業職はどの企業においても事業の根幹を担う重要な役割を果たしています。しかし、営業を行う「舞台」が大手企業かベンチャー企業かによって、その環境やスタイル、成長スピードは大きく異なります。同じ「営業」という肩書きでも、日々の業務内容、求められるスキル、キャリアの築き方には差があるのです。ここでは、大手営業会社とベンチャー営業会社の違いを、メリット・デメリット、どんな人が向いているかまで含めて詳しく解説していきます。

組織の規模と体制の違い

大手営業会社

大手企業では組織が明確に階層化され、部署や役職が整備されています。営業部門も細分化され、法人営業・個人営業、新規開拓・既存顧客フォローなど役割分担が明確です。また、マニュアルや営業手法が体系化されており、新人でも研修を通じて基礎を学べる環境があります。営業職の一人ひとりに大きな裁量は与えられにくい一方、組織のサポートを受けながら着実に成果を出せる仕組みが整っています。

ベンチャー営業会社

ベンチャー企業は人数が少ない分、一人ひとりの担当範囲が広いのが特徴です。新規顧客開拓から契約、アフターフォロー、さらにはマーケティングや商品企画にまで関わることも珍しくありません。明確なマニュアルやルールが整備されていない場合も多く、自ら仕組みを作りながら営業活動を進めていく必要があります。その分、自由度が高く、自分の提案や工夫がダイレクトに成果につながります。

営業スタイルの違い

大手営業会社

大手では「ブランド力」が大きな武器です。顧客からの信頼度が高く、知名度のおかげで話を聞いてもらいやすい傾向があります。商材も既に実績のある製品やサービスが多く、営業マンが一から信頼を築くよりも「会社の信用」をベースに取引を進められます。その一方で、既に決められた営業手法に従うことが多く、自分の独自のアプローチを試す余地は少ない傾向があります。

ベンチャー営業会社

ベンチャーの場合、ブランド力や知名度が十分ではないため、営業マン自身の工夫や情熱で信頼を勝ち取る必要があります。まだ市場に認知されていないサービスを売ることも多く、顧客に対してゼロから価値を説明し納得してもらう力が求められます。営業手法の自由度は高いですが、結果を出すためには主体的に動き、仮説検証を繰り返す力が必要です。

教育・研修制度の違い

大手営業会社

大手は人材育成に大きなコストをかけています。新入社員研修、営業スキル研修、マネジメント研修などが段階的に用意され、OJT制度も整備されています。体系的にスキルを身につけられるため、営業未経験者でも安心して成長できます。ただし、研修内容は定型的であり、個人の個性やアイデアよりも「標準化された手法」を学ぶことが中心になります。

ベンチャー営業会社

ベンチャーでは研修制度が十分でないことが多く、いきなり現場に出されるケースも珍しくありません。その代わり、実務を通じて実践的に学べる環境があります。上司や先輩から直接指導を受けたり、自分で試行錯誤しながらスキルを磨いていく必要があるため、学習意欲が高い人には大きな成長機会になります。逆に「手取り足取り教えてほしい」タイプには厳しい環境になり得ます。

キャリアの広がり方の違い

大手営業会社

大手ではキャリアパスが明確です。成果を積み重ねれば主任・課長・部長と昇進し、最終的には経営幹部を目指すことも可能です。また、営業で実績を出せば他部署（人事・企画・マーケティングなど）に異動できるチャンスもあります。安定性が高く、長期的にキャリアを築きやすい環境です。

ベンチャー営業会社

ベンチャーでは昇進のスピードが速いのが特徴です。社員数が少ない分、成果を出せばすぐにマネージャーや役員候補に抜擢されることもあります。また、会社の成長とともに自身の役割も拡大していくため、若いうちから経営に近いポジションを経験できる可能性があります。ただし、会社自体が安定していないため、キャリアが不安定になりやすい点も注意が必要です。

働き方・労働環境の違い

大手営業会社

大手では労働時間管理や福利厚生が整備されており、ワークライフバランスを意識しやすい環境です。有給休暇の取得率も比較的高く、産休・育休制度も利用しやすい傾向にあります。ただし、社内調整や会議が多く、スピード感に欠ける一面があります。

ベンチャー営業会社

ベンチャーはスピード感が最優先されるため、長時間労働になりやすい側面があります。成果主義が強く、数字を出せなければ厳しい評価を受けることもあります。その一方で裁量権が大きく、フレキシブルな働き方を導入している会社も増えています。自分次第で効率的に仕事を進められるのは大きな魅力です。

給与・評価制度の違い

大手営業会社

基本給が安定しており、ボーナスや昇給制度が整備されています。成果を出せば評価されますが、年功序列の要素も残っており、努力がすぐに給与に反映されるとは限りません。安定志向の人に向いています。

ベンチャー営業会社

成果に応じてインセンティブが支給される仕組みを導入している会社が多く、大きな成果を上げれば若いうちから高収入を狙えます。ただし、成果が出なければ収入が低くなるリスクもあり、安定性は低いです。

どんな人が向いているのか？

大手営業会社に向いている人

安定志向で長期的にキャリアを築きたい人
組織の中で着実にステップアップしたい人
体系立てて営業スキルを学びたい人
福利厚生やワークライフバランスを重視する人
ブランド力を武器に営業活動をしたい人

ベンチャー営業会社に向いている人

変化を楽しめる柔軟性のある人
裁量権を持ち、自ら仕組みを作るのが好きな人
成果主義の環境でチャレンジしたい人
若いうちからマネジメントや経営に関わりたい人
リスクを取ってでも大きなリターンを求める人

実際の社員の声

大手営業会社で働く社員の声

事例1：30代・法人営業担当

「大手に入って一番良かったと感じるのは、会社の名前で信頼を得られることです。初めてお客様に会う時でも『○○社さんなら安心だね』と言っていただけることが多く、会話のスタート地点が有利なんです。商材も実績のあるものが多いので、自信を持って提案できます。ただ、その分ルールやマニュアルに沿って行動する場面が多く、自分なりの工夫を試す余地は少ないのが正直なところです。安定はしていますが、刺激が少ないと感じることもありますね。」

事例2：20代後半・新入社員

「入社直後から充実した研修を受けられたのはありがたかったです。ビジネスマナーから営業トークまで体系的に学べて、安心して現場に出られました。先輩の同行も多く、フォロー体制が整っているのを実感しました。一方で、社内の昇進スピードはやはり遅めで、成果を出してもすぐに役職に就けるわけではありません。長い目でキャリアを見ている人には合っていると思います。」

ベンチャー営業会社で働く社員の声

事例1：20代前半・入社2年目

「とにかく裁量が大きいです。入社してすぐに新規開拓を任され、提案から契約、フォローまで全部自分でやっています。最初は失敗の連続でしたが、試行錯誤の結果、2年目で大手企業との取引を獲得できました。『自分が会社を動かしている』という実感があるのはベンチャーならではです。ただ、成果が出ない時期は本当にプレッシャーが強いですし、安定感はあまりありません。」

事例2：30代・営業マネージャー

「私は大手から転職してベンチャーに来ました。驚いたのは意思決定の速さです。新しい営業手法を提案したら、翌週には全社で取り入れられることもあります。大手では考えられなかったスピード感ですね。ただし、その分労働時間は長く、休日にも顧客対応をすることがあります。ワークライフバランスを求める人には厳しいかもしれませんが、成長とやりがいを重視する人には最高の環境だと思います。」